「外国人労働者なら低賃金でも喜んで介護をやる」という発想の愚

2016年度から外国人技能実習制度の対象に「介護」が追加される。また、在留資格に専門職として「介護」が追加され、日本の介護福祉士資格取得者に就労目的在留が認められることになった。

介護は、業界内でも「きつい」「汚い」「給料安い」の新”3K”であるという声もあり、また、少子化や建設業の人材需要拡大などもあいまって、介護施設はどこも近年強烈な人手不足に見舞われている。

どの施設も、どうやって国の基準を満たすだけの人材を確保するかに苦心しており、確かに外国から労働力が入ってくるならこんなにありがたい話はない。

ただ、この強烈な人材不足は、外国人に介護労働の門戸を開いたからといって果たして解決する問題なのかというと、私は非常に懐疑的な見方をしている。

外国人は低賃金でも日本で働きたいのか?

「介護は外国人にやってもらおう」という発想の根底には「外国人労働者なら低賃金でも喜んで介護をやだろう」という安易な考えが潜んでいるような気がしてならない。


最近、フィリピンの看護学校から「卒業生を日本の医療機関で日本で働かせたいが、どうすればいいか」という相談を受けている。

そこで冒頭に挙げたように、「介護なら実習名目で就労できるような制度ができる」という話をしたのだが、向こうは全然飛びつかない。

看護師として働くには日本の看護師国家試験(当然、日本語)に合格する必要があるなど、言葉の壁がある。現地で看護師の免許を持っているとはいえ、言葉のハードルは極めて高い。しかし、向こうが期待するのは、ハードルは高くても「介護ではなく看護師として働かせたい」ということだった。

介護スタッフの年収は看護師よりも200万円安いという事実

厚生労働省が数年に1度「医療経営実態調査」と「介護事業経営実態調査」という2つの調査を行っている。サンプル調査ではあるものの、全国の病院・介護施設・介護サービス事業者等の事業収支と職員の平均年収など、貴重なデータが得られる。

病院の場合、全体の平均では看護師の平均年収は約500万円、介護職員(看護補助者)は平均年収約280万円となっている。介護事業の場合、看護職員と介護職員を1つにまとめた平均値を出しているため正確な介護職員の平均年収はわからないが、看護師の配置が手厚い施設系(特養、老健など)では約350万円弱、介護職員が中心の居宅系(デイサービス、訪問介護など)では約250~300万円という感じだ。介護スタッフの平均年収300万円というのがひとつの相場観だろう。


こうやってみると、看護師と介護スタッフでは実に100~200万円ぐらい賃金差があることになる。"出稼ぎ国家"であるフィリピンにとしては、せっかく看護の勉強をしたのだから、なるべくいい条件で働けるようにしたいと考えるのは当たり前の話だ。

日本人が期待するように「外国人労働者なら低賃金でも喜んで介護をやる」ということにはおそらくならないだろうと思う。


引用・続き:yahooニュース